2012/4/21更新:The Bike Journalで小笠原選手がUCI下のステージレースでDomaneを使って参戦しています。このゴミ記事に比べてプロのインプレが読めますので、是非そちらで。
http://bikejournal.jp/main/?p=3617
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いつもお世話になっているトレックストア六本木に、一昨日発表されたばかりのTREK Domane 6 シリーズの試乗車が入荷しました。
そこで早速乗らせてもらってきました。日本にも恐らく5台くらいしか入荷しておらず、トレックストアグループのみだと思うので、本当に最速の入荷と思われます。
本日は、恒例の皇居までのモーニングライドでしたのでその参加後(つまり30kmほどMadoneに乗ってから)試乗させてもらいました。ペダルもスピードプレイに変更してビンディングペダルも試させてもらいました。
Domaneには振動吸収・ロングライド(エンデュランス)指向のバイクですので、私のMadoneも私が思う最も快適な組み合わせで出かけました。
仕様比較:
◆TREK Domane 6 Series 54cm, ジオメトリFITは1種のみ。カラー:セレクトカラーのBlack Titanite / Trek White。OCLV 600カーボン(米国製造ではないようです。要確認)
・グループセット:Shimano Ultegraのワイヤータイプ
・ホイール:Bontrager Race Lite クリンチャー(ボントレガーのグレードをご存じ無い方の為に:このモデルはトップからセカンドグレードのクリンチャー・ローハイトアルミリムのホイールです。)
・タイヤ:Bontrager R3 Road 700x25c (なんと25cが支給されてきたらしい)+8bar程度
・サドル:たぶんAffinity RLのホワイトと思われる。
・重量:おそらく7.3~7.5kg程度
◆(比較用マイバイク) TREK Madone 6.9 SSL (2011), 56cm, H2 FIT。OCLV 700相当 HexSLカーボン(米国製造)
・グループセット:Campy (Super) Recordのワイヤータイプ(FD/RD/ErgopowerがRecord)
・ホイール:Campy Bora Ultra Two (F) / Bora Ultra 80 (R)
・タイヤ:Continental Competition 700x22c + 7.5bar程度
・重量:約6.3kg程度
*留意点
・重量が1kg程度違うこと。
・ホイール・タイヤセットがクリンチャーの25mmと、チューブラーの22mmが違う事
・グループセットが違う事
・サドル長は大方あわせてもらっているが、ステム・ハンドル回りは調整していない点
さて、”ド素人による”、しかも極めて短いライドによる感想です。こんなゴミ記事で購入の参考にしては決していけませんが(ちゃんと別記事のプロのインプレッションを参考にしてください。)、素人の私感じた事を何点か紹介。そもそもロングライド用のバイクなのに乗っている距離が短いので、100マイル以上走って述べるべきバイクであることは事前に述べておきます。
◆道路の段差からくる突き上げが、私のMadoneに比べて体感できる程度の差はある。
Madoneが、コツ・コツ・コツっと鋭く・甲高い感じで伝わってくるのに対して、Domaneだとコロッ・コロッ・コロッっと伝わってくる。振動工学的にいえばp-pの振幅の低減と、LPF(ローパスフィルタ)を通した感じ。音と尻に伝わって来る感覚はMadoneに比べて体感としてそんな感じの印象を受けました。これにはちょいと疑問がありました。
シートチューブの上部に一番のウリであるISOSpeed Technologyですが、
ここでの彼らの解説では、Vertical Complianceが同クラスの他社バイクに比べて2倍良いという説明(動画では40%程度と表示されていますね)。(垂直)コンプライアンスは機械系の学生であればまず授業があると思われる振動力学の基礎的な用語ですが、いわゆるバネ定数の逆数です。加えた力に対する変位量が他社のバイクに比べて1/2ってことらしいです。実際にシートステー+トップチューブとシートチューブがISOSpeedでは分離してこの吸収性を実現しているのですが、バイクを止めておいて、サドルに手で体重を使って押してみると明確にシートチューブがしなります。同じ力をMadoneに加えても全く”しなら”ないのでここは大きくフレームの設計思想が違います。これで吸収を抑えているわけですがそれでも結構力を加えないと目に見えるほどしならないので、これで振動の高周波成分をカット(つまりLPF的な効き方)まで効くのかな?という疑問を持ちましたが、実際に載ってみて違いがあった訳ですから効いているんでしょうね。つまり、Domaneの解説などを読んで、MTBのサスを想像している人が居るかもしれませんが(私もそうでした)、そんなグニャグニャな物では決してありません。もちろん振動吸収だけを考えればMTB的なサスを入れればそれは完全に抑えられるのですが、重量増にもなりますし、そもそも(後述する)柔らかすぎると推進力がおちてしまいます。というわけで、ISOSpeedは極めてリジッドに近い振動吸収テクノロジーですね。まぁコンプライアンスが2倍”程度”ですから、MTBのサスとは比較対象ではありません。少なくとも乗っていて、”あ、沈んでいる”という様なMTB的な感じはありません。振動の吸収(というよりは乗っていての尻や足に伝わる感触)は恐らく誰でも感じられると思います。
◆東京の道路は世界的に見えば整備されている方かと思われますが、東京(日本)の道路でも十分に効果はあると思われる。
カンチェラーラがパリ・ルーベのようなパヴェ(石畳)を走るレースで勝つために開発が始まっているDomaneですが、そのコンセプトだと”一般の人は石畳なんて走らない”と思われるかもしれません。ヨーロッパでは今でも石畳が多いのでもちろん有効だと思われます。一方で東京の六本木で乗っていてもやはり路面って凹凸はあります。いろいろな大人の事情から一部だけ掘って埋めたような道路、交通戦争の関係でたまに歩道を登り降りをしなければいけない場面、日本の施工に多い一番外側だけコンクリートになっているアスファルトとのハイブリッド道路の境界面、峠の坂道に多い滑り止めという名の凹凸パターン。これらの道路状況にも十分に効果があると思います。というわけで、ロングライドの試乗をしていないので、それが体にどのくらい影響するかは想像は付きませんが、少なくともショートで東京の道を走った中でも体に伝わって来る印象は違います。それがチリが積もれば山となるように、ロングに行ったときに違いが出てくるんですかね?それは試していないのでわかりません。
◆ダンシングなど強く踏んだ(回した)時の反応は悪くない。
TREKの公式サイトの解説で気にしていたのはISOSpeedフォークです。明らかにMadoneとは形状が異なり歪曲しています。ホイールベースとドロップアウトは最適に調整と書いてあるのでこの辺上手くやったのですかね?印象でいえばダンシングなどが”やりにくいのでは?”というイメージがありましたが、全く問題なく私のような貧脚ライダーでは、明確に進まないという印象はありませんでした。本音を言えばMadoneと比べて体感では分かりませんでした。おそらくこの辺りはプロが乗れば少し違いなどはあるかもしれません。一方でカンチェラーラのパフェでダンシングまでしてきて、前の中継バイク(彼らもパフェでスピードが出せない状況で)にぶつかりそうになるような変態ライダー用に設計されているので、Domaneにしたことでスピードが逃げて進まないなんてことはないでしょう。スプリンターなどが使って印象が変わるかレビューなどが楽しみですね。正直、このダンシングに関してはもう少し峠などに行って比較したいのが個人的な印象です。というのは、振動が吸収されてダンシングなど反応に問題がなければ、質量以外にMadoneのアドバンテージはなくなるわけでDomaneの導入を考えていない私としては悔しいところです(笑)。今回の試乗で、”あ、振動は吸収するけど、進まないね”っていう印象が欲しかったのですが、それはありませんでした。これはフォークの形状というより、トレックの宣伝をそのまま解釈すれば、Power Transfer Constructionという技術で上手くやっているのですかね。
あとダンシングつながりで述べれば、ダンシングしている時もペダルを通して伝わって来る振動がMadoneとは違った印象があった気がします。ダンシング時は、手はハンドルを交互に押していて、ペダルを通して路面への垂直効力を体重と筋力が生み出しているわけですが、その効力に対してもISOSpeedは少し効いている印象がありました。ミクロでみれば、路面へ追従しトラクションは掛かりやすいの”かも”しれません。こればっかりはかなり勝手な事を書いている気がします。ちゃんとしたプロライダーの情報を待ちましょう。少なくともダンシング”しづらい”ことはありませんでした。その前にUltegraのSTIのブラケットがへぼすぎてそっちの方が萎えましたが(シマノユーザーさんすみません)。エルゴパワーになれちゃうとダンシング時はブラケット形状の違いが特に顕著でございまして・・・。
◆ビンディングジャンプしたときの感想
ビンディングジャンプ(その場で前後タイヤを両方浮くようにジャンプ)した時の印象は全く分からず(笑)。特に印象はなし。基本的にはフルサスのMTBなどと違ってリジットに近い吸収システムですので、両タイヤを同時にジャンプしたときはあんまり分かりませんでした。鈍感なだけかな?
◆総評として
体感でいうとマイバイクで最も快適だと思っていたMadone + チューブラーのContinental Competition(7.5bar)よりも振動が伝わってくるのは少ないと思いました。これはウリであるシート部のISOSpeedだけではありません。25cのタイヤや、新発売のハンドルバー(Bontrager Carbon ISOZone Handlebar)なども相まっての総合性能で少し軽減されているのかなと思います。たしかパリ・ルーベを個人ライダーで走れるイベントがありましたよね?たしか走行条件がバーテープの二重巻き+スペアチューブ4本とか・・(違っているかも)。バーテープを二重巻きで手の振動は抑えられますが、やはり尻への振動の軽減は、最近の剛性重視のカーボンフレームではなかなか難しい気もするので、効果はあると思います。これにチューブラータイヤ履いたらもっとまろやかになるかもしれませんね。
私の様なMadoneユーザーが買いか?に関しては明言を避けますが、正直違う種類のバイクなので、まずは試乗していただきたいですね。TREKには数時間貸し出しを許可して100km以上走れる機会が出てくればよいかと思います。私も短時間での違いを感じましたが、長距離に同影響してくるのかはわかりません。尻パッドを厚いのを履けば同程度とかもあるかもしれませんし。
個人的には、これからMadone5 / Madone6シリーズを検討中の方は是非試乗していただきたいですね。おそらく日本の道路環境を考えても、Domaneを気に入る方はかなり多いのではないかと思われます。現在はDomane 6シリーズという名前でOCLV600です(米国製造ではないようです。要確認)。今後、5,4,3という(OCLV500以下)でISOSpeedを搭載したDomane 5シリーズ以下が発売されるかなと思います。その辺りが出てくる頃まで待っても良いかもしれません。インプレも出そろってISOSpeedはどうなんだ?というのに一定の評価も揃っているでしょうし。レースではなくロングツーリングやブルベユーザーも多いと思うのでDomaneは十分に日本でも魅力的な製品かなと思います。
ファンの多いカンチェラーラがTour of Flanders(今日ですな)やパリ・ルーベで今年絶好調のボーネンを撃破して優勝できればモーレツに売れるかもしれませんね(笑)
2012/4/1 22:09速報:カンチェラーラがツール・ド・フランドルで落車し鎖骨骨折・・・。パリルーベでもDNFでしょう。おそらく。というわけで、TREK威信をかけたDomaneが春クラでの勝利はなさそうです・・・。うーむ。残念!!
◆おまけ写真(クリックすると拡大)
トップチューブのシート側のロゴ。個人的に”DOMANE”のロゴが実にかっこいいフォントだと思います。このフォントですがRadioshack Nissan TrekのMadoneのチームカラーで使われ始めたフォントですよね。最近のTREK関連のロゴの入り方では個人的にはもっとも良いかと。
Madoneよりもこのチューブ部分は横幅が広く、平べったいです。横に広い。
一番のウリであるシート部のISOSpeed Technology。つまりシートチューブと(トップチューブ+シートステー)が分離しています。
チェーンステー部。このカラーは、Domane6のセレクトカラー6種の中では唯一まともだと思います。他の何色かのカラーデザインはもうギャグですね。酷すぎて。つまりProject Oneで自由にカラーを選べという誘導なのでしょう(笑)
ISOSpeed Fork。フォークエンドの形状がMadoneと大きく違います。
この記事はかなり殴り書きの文章で、ちょこちょこ修正を加えると思います。
参考(本ブログの前記事):TREKの新ロードバイクTREK DOMANEが来ました。
Miyashitaさん、こんにちは。
国内でも最速クラスのレビューではないでしょうか?(笑)
ISOSpeedテクノロジー、Canyonの例のシートポストと同じ方向いや、もっと進んだ技術で気になるところです。私ももうすっかり乗り心地のいいロードバイクでないと乗る気にならなくなりつつあります。
Domane。名前がかなり安易な感じがしてこのバイクの中で一番気に入らないところなんですが、バイクの出来自体はなかなかよさげですね。
フォークもベントしつつもオフセットされていたりとちょっとCannondaleのSuperSixEvoっぽいのでEvoの出来からすると意外に期待がもてそうだなぁと思ってました。
まぁ、買うことはないと思いますが(もし買うならEvoか次期Madoneの方が興味あるので)ちょっと試乗はしてみたいです。
それにしてもカンチェは残念ですね。
C階段さん>
こんばんは。RXRS調子良さそうですね!CF SLXから比べれば相当にしなやかではないでしょうか?私ももうSLXの感覚を忘れつつありますが、乗り心地の良いバイクに慣れはじめちゃいました。
今回の振動の様子ですと、Canyonのシートポストのあの部分だけで吸収しているレベルではないです。ダンシング時のペダルからの振動もやや違った”気が”しますので、全体で受けている印象です。
DomaneのネーミングはUCIのカタログで暴露されたときにギャグかと思いましたが、ラテン語でなんちゃら?の意味など何とか割り当ててきた感じでしょうか。となるとTDFの前に発表されると思われるMadoneの後継機は、NeDomaあたりですかね(笑
フォークの形状はまさにEVOっぽいですね。つっかかることもなく特に変な印象もないフォークでした。
カンチェラーラは残念です。TREKは私がTREKユーザーになってからなかなか勝てないです。BMCも絶不調ですから私が買ったフレームメーカーは勝てないジンクスが・・・(笑
こんばんは。
早速のレポート有難うございます。アスファルトがひび割れていたり隆起していたりというのはよくあって
そういうところでサドルからの振動が不快だったりするので Domane は役立ちそうですが
カンチェラーラ用ということで、次はシュレク兄弟用ヒルクライム向け New Madone がいつ出るか
どんな感じになるのかがとっても気になりますね。
ツールで 9000デュラと共に、みたいな。
宮下さんの次期モデルは C59 Disk かなと思ったりもしてます (笑
となると新城の今年が期待出来なく・・・(笑
まぁあれは Di2 ですからね。
albaさん
こんばんは。暖かくなってきましたねー。
アスファルトって結構凹凸ありますよね。下水道の部分だけ掘り起こしてつぎはぎしたような道路もそうですし、地方の山などではそもそもひび割れているのに補修していなかったり、そのあたりでもDomaneは割と良く抑えてくれると思われます。問題はその連続がどこまで足なり疲労に蓄積されるかなのですが・・。
New Madoneは、現行モデルが4年目になりますからTDF直前に発表はされるでしょうね。あくまで予想ですが、さすがにちょっとデザインが古いですよね(乗っている人間がいうのもなんですが)
9000 Duraはどうもピナレロフレームで試しているようで!??New Madone(名前が変わる可能性が濃厚)の時に付いてくるかは楽しみなところでしょうね。ことしのTDFで少なくともシマノ11速が投入されることは間違いないですが、電動の11速が来るかは楽しみなところです。
次期モデルはご期待ください!!(笑)というのは冗談で、いろいろかんがえていまーす。
miyashitaさん、こんにちは。
RXRSかなりしなやかなんでしょうけど、意外にもWH7900とチューブレスの威力は絶大でCF SLXの乗り心地もほんとに同じバイクと思えないくらい良くなります。BMC SLR01でも下手なホイールとタイヤだと乗り心地の点では及ばないかもしれません。
次期Madoneは海外のフォーラムでも話題になっているようにどうせならDaemonくらい突き抜けた名前でもいいかもしれませんね。ちょっと心配なのはDomaneが出たことでより高剛性の方にいっちゃう可能性があるのが怖いですね。
まぁ、きっとmiyashitaさんは買っちゃうんでしょうけど(笑)
コンポは噂の新型ヌーボーレコードでしょうか?
それにしてもフランドルはDomaneでカンチェラーラが落車でボーネンがおよそ振動吸収性に縁遠いと思われるTarmacSL4で勝っちゃったのも皮肉ですね。
WH-7900 TL + Fusion3は私も乗っていました。ぷにぷにで気持ち良い組み合わせですよね。特段個性もないですが優秀なハブも併せて乗り心地よかったなぁ~という印象があります。
次期Madoneも楽しみですね。私は様子見確定の予定ですが、楽しみです。
SL4で買っちゃうと、振動吸収はなんだかなぁという感じですよね。
すいません。新型ヌーボーレコードうんぬんはエイプリルフールネタのようでした。
すいません、忘れて下さい(笑)
はは。大丈夫ですよー。