極めてニッチな内容でございます。最近のブログを読み返してみても自転車の内容ばかりでブログのタイトルからかけ離れています・・。まずいなぁ・・。
さて、カーボンホイールを使い始めましたので、ブレーキパッドもカーボンホイール用のパッド(シュー)に交換しなければなりません。そんな大した作業ではないのですが、その工程でいろいろあったので少し紹介。
まず、ブレーキパッド。型番は、Campagnolo BR-RE701/2です。
Campagnolo brake pads for carbon rims [BR-RE701/2]
この3つ箱の差が分かりますか?(写真はいつも通りクリックすると拡大)。実は、商品型番やバーコードが同じにも関わらず、中に入っているものが違います。
左上の箱だけ、2011モデル対応の新型ブレーキパッドです。カンパは、結構大きな変更にも関わらず同じ型番で販売しています。この辺が混乱しがちです。
しかも真ん中の箱と右下の箱は、両方とも旧型ブレーキパッドにも関わらず箱の大きさが違うという、千差万別っぷり。
まぁ、こういう細かい部品は棚に入っていて、注文が来たら箱につめてバーコードシールを貼るっていう仕組みでしょうね。
つまり、このパッドを注文する際に型番ではなく、2011モデル対応の旨を店に伝えなければなりません。
では、ブレーキが2011年モデルから何が変わったのか?
左、中上の二つ:Campagnolo Super Record (2009/2010)のブレーキパッドホルダー
中下、右の二つ:Campagnolo Record (2011)のブレーキパッドホルダー
(後で出てきますが、このホルダー自体はブレーキアームにTORX T-25のネジで取り付けます。写真に写っているとおり。)
2011年からは、わかりますかね?パッドに窪みが付いていて、そこにホルダーの”引っかけ”を当てて交換しやすくなりました。新型ブレーキパッドはこの窪みに対応したわけです。
左が新型(2011モデル対応)ブレーキパッド。背中に引っかけの窪みが付いています。
右が旧型。
こんなものをなぜイチイチブログで紹介したかには二つの理由があります。
1)旧型はブレーキパッドの交換がとても困難。
旧型ブレーキパッドは、窪みとかなくパッドホルダーにしまりばめで挟むことにより固定されています。これが死ぬほど堅い。マニュアル( http://www.campagnolo.com/repository/documenti/en/Skeleton_Brakes.pdf ) を見ると、手を怪我しないようにグローブしろよとか書いてありますし。
パッドをはめる際には、潤滑剤を使わずにアルコールを使えとか。とにかくそうでもしないと堅すぎてはいりません。私はパッドを湿らして、プラハンでとんとん叩いたところ(ある本に書いてあったので)、見事に新品のパッドが途中で折れて使い物にならなくなりました・・・(1つが無駄に・・・)。そういう意味で結構大変でした。人によっては専用道具みたいなものを使っている様ですね。
とはいえこの問題は慣れれば大した話しではありません。
2)ブレーキパッドホルダーをブレーキに固定するネジが規定トルクでも破断。
破断したブレーキパッドホルダーを固定するTORX T-25ネジ。規定トルク8Nm。
ブレーキパッドがなんとか付いたところで(プロショップの方にもお世話になり)、パッドホルダーをブレーキ本体に固定していたら上記の様にネジが破断。
マニュアルには8Nmが規定トルクとなっています。トルク管理は人工衛星でも非常に重要で数百本の衛星のネジは全てトルクレンチ・トルクドライバーで管理します。
管理が甘いとロケット打上振動でネジが緩み、そのネジが無重力で浮遊し、衛星に傷を付けたり、衛星から離れると時速28000キロのデブリになるからです。
人間の手先感覚によるトルク管理は洗練で、そこが職人芸ではありますが(その技能は認めますが)、その職人芸気質は衛星開発には無用・不要です。完全に設計通りに組み上げる必要と、何回も組み上げするための再現性が必要であり、人間の感覚に頼るようなリスクは負えません。逆にその職人気質を一般的にこの国は賞賛(プロジェクトXの影響か?)される傾向があり、私も一定の理解はありますが、それは発展途上の製造国がやる行為であり、先進国で十分に年収があがった国が推奨してやる作業ではありません(このブログで何度も述べておりますが)。あと、日本人は器用で、他の国の人は不器用だというのも情報不足からくる都市伝説です。ベトナムあたりの切削加工技術は相当レベルが高いです。彼らは出稼ぎで家族を離れて他国に出向いていたのを、自国で技術を付ければ自国で働けるわけであり、その技術習得の真剣さは凄まじいです。日本の戦後と一緒ですよね。つまり人種・国柄に関係なくどれだけ真剣に命をかけてやっているかなんですよ。なので日本人が特別器用っていうのは戦後、必死だったころの話で、我々はもっと設計側、システム側に回らないといけません。米国はちゃんと、製造を人件費の安いアジア、アフリカに投げて、iPhoneをはじめとして優れたプロダクトの設計を相変わらず世界トップレベルで行っています。日本は、先進国入りする間にそこが育たなかったので今の様に世界に取り残されてしまったわけですね。
さて完全に話しがそれました(笑)。とにかく8Nmの規定トルクでとめたら破断したわけです。それほど良いトルクレンチではないので10~20%程度トルクに誤差があっても破断するのは、ネジの設計と規定トルクの設定値に問題があります。つまりカンパの設計ミスだと思います。まぁ、このネジを軽量化しすぎていることと、ここの規定トルクを高すぎるのが問題ですね。ネジと相手の素材を考えるとこの部分は6Nm程度でしょうね(あくまで個人的な意見です)。このネジを追加注文しましたが、TORXというのもあり4本ですごい値段がしました・・。サイメンのブログでも同じ箇所のネジが破断しているようですから、この部分は注意が必要ですね。
というわけで、カンパレコードクラスのブレーキパッドがマイナーチェンジしているのに型番すら変えていないよということと、取付ネジが破断しやすいよという話でした。
そんなに部品の形状を変えて型番が変わらないとは。。。。
コンフィギュレーションコントロールとしては考えられませんねw
まぁ、あまりガチガチなのもどうかなと思いますが、それにしても。
ありえんでしょ?カンパが今までもそう言うことをやっていたのかはわからんのだけど、これにはびっくりしました。最初の写真にあるように二つ予備で買っといたら、それは指定しなかったので旧型が2つ来た・・・OTZ….
HTV2良かったですな~